igaigaの徒然読書ブログ

読んだ本の感想を気ままに書く読書ブログ。時々映画鑑賞。

「極小農園日記」 荻原浩



極小農園日記 荻原浩

野菜も小説も何年やってもわからない。わからないから、面白い。庭先の春夏秋冬、小説の話、旅路にて…熟練作家がおくる滋味豊かな初エッセイ集。

【目次】
1章 極小農園日記Part1“秋冬編”(ジャガイモ小僧の芽生え/根菜はある日突然に ほか)/2章 極狭旅ノート(空白を旅する。/お客さまの中に~ ほか)/3章 極私的日常スケッチ(外国人だから気に食わない!?/二月は鬼っ子 ほか)/4章 極小農園日記Part2“春夏編”(極小農園リニューアルオープンのお知らせ/四月の私は畑で探してください。 ほか)


荻原さんのエッセイです。
イラストもご本人。

メインは家庭菜園での野菜作りかな。
でも、家庭菜園レベルでなんでスイカ植えてるんだろう?
そういう不思議はありましたが、
でも、基本的に「あーわかるー」とかいうのはありました。

荻原(おぎわら)だけど萩原(はぎわら)に間違えられる件とか
日常のエッセイもありました。

でも、私は普段は小説を読むほうが圧倒的に多いので、
淡々としたペースの読み物だと途中で飽きてきます(笑)
小説だと、後半になると盛り上がるのでワクワクするのですが、
ここがエッセイとの違いかなぁー。

何日かに分けて読めばよかったのですが、
まぁいつものクセでガッツリ読んでしまったのが間違いのもとでした(^-^;)

「海馬の尻尾」 荻原浩



海馬の尻尾 荻原浩

二度目の原発事故で恐怖と不安が蔓延する社会ー良心がないとまで言われる男が、医療機関を訪ねた…。人間、どこまで変われるのか。何が、変えるのか。

久しぶりに荻原さんシリアス系な長編を読んだ気がする。
ところどころユニークな箇所はありますが、主人公がやくざなのでそれほど笑いもなく、
結構痛めつけるシーンなどもありました。

アル中治療ってことで病院に通うんだけど、そこで知り合った少女や同じ病気で治療する人。
みんなそれぞれ不幸と病気を背負ってます。

個人的には面白く読みました。
ラストがすごくいいところで終わったんだけどー。
あぁーそういえばこの作家さんってたまーにこういう終わり方させるよねー。
「僕たちの戦争」とかー。「オイアウエ漂流記」とかー。

あぁーー!ここで終わるのかっ!!!

と、少しジタバタしちゃいました(笑)

及川がやっている治療がなんとなく怪しげな感じもしたんだけど、
少しずつ変化が起きてきて・・・そういう部分は読んでて興味ありました。
しかし、どこまで医者を信じたらいいか。
そこが難しい。
でも、ふつうの病気とかだと医者って無条件に信じちゃうよね。

「ストロベリーライフ」 荻原浩



ストロベリーライフ 荻原浩

農業なんてかっこ悪い。と思っていたはずだった。イチゴ農家を継げと迫る母親。猛反対の妻。志半ばのデザイナーの仕事はどうする!?夢を諦めるか。実家を捨てるか。恵介36歳、いま、人生の岐路に立つ!

読み終わって「もう少しダンナを手伝わなくちゃ」と反省しました(笑)
我が家も出荷はしてないけどイチゴは植えているのです。
100%ダンナに任せてて、ワタクシigaigaがすることと言えば、
朝、畑にいって収穫をし→食べる。以上(。・ω・。)

あぁーーーものの見事に自己嫌悪に陥った(笑)
でも、この本はうまくいきすぎーーー。
まぁ小説なのでよろしいのですが、「出荷する」という前提で農業をするのは本当に大変だと思う。
こっちでも東京とか都会からわざわざ農業やりにくる20代の人とかいるんです。
素晴らしいと思う。
そういう若い発想が必要なんだろうなと思います。

手をかければかけるほど育つし、うん。
書いてあることはわかる。
実際大変だよねーーー。
このままじゃダメだ。わたし。
もう少し頑張らないとっ。

そう思ってしまった1冊でした(^^;)

「海の見える理髪店」 荻原浩



海の見える理髪店 荻原浩

伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。もしも「あの時」に戻ることができたら…。母と娘、夫と妻、父と息子。近くて遠く、永遠のようで儚い家族の日々を描く物語六編。誰の人生にも必ず訪れる、喪失の痛みとその先に灯る小さな光が胸に染みる家族小説集。

【目次】
海の見える理髪店/いつか来た道/遠くから来た手紙/空は今日もスカイ/時のない時計/成人式


わりあいにシリアスで、普段の荻原さん独特な言葉遊びみたいなユニークな展開ではありませんでした。
この中では「成人式」が好きかなー。
自分たちの娘が5年前に交通事故で死んだあと、立ち直れない両親。
ちょうど娘が成人式を迎える年齢になったので、娘の代わりに成人式に出ようとする2人をシリアスかつユーモラスに描かれてました。

他にもいろいろとしんみりする話が多く、ほっこりしたかった私としたら多少物足りないところもありました。
やっぱり「家族」というのは独特なものなのですよねー。
たまに、私の母親がボケたらイヤだなーと思いますが、今のところしっかりしているので助かります。
(父はすでに少し怪しい ^^;)

「ギブ・ミー・ア・チャンス」 荻原浩



ギブ・ミー・ア・チャンス 荻原浩

「人生やり直したい!」と思ったこと、ありませんか?でも、夢を追うのも楽じゃない。それでも、挑み続ける人々の姿を描いた少しだけ心が強くなる短編集。

【目次】
探偵には向かない職業/冬燕ひとり旅/夜明けはスクリーントーンの彼方/アテンションプリーズ・ミー/タケぴよインサイドストーリー/押入れの国の王女様/リリーベル殺人事件/ギブ・ミー・ア・チャンス


1話目と2話目がお気に入りです。
1話目。探偵に向かない職業⇒元・力士です(笑)
自分はリバーシブルの上着を着て場合によって着替えてるんだけど、
着てる人が150キロ以上の巨体だからどうしても目立つw

目立つことこの上ない(笑)
そこが読んでてウケました。

2話目はバンドして女性デュオになって最後には演歌歌手になって
全然売れてない歌手の話だったんだけど、
この話のラストが一番爽快でした。
これはよかった。

あとは、面白かったりそうでもなかったり。
まぁ「チャンスが欲しい」と思うのはみんなある話で。
みなさんどっかで見栄張ってたり、強がってるからそんな苦労をするんだろうなと思いました。
でも、夢のあるのはいいことだ( ̄∇ ̄*)

「金魚姫」 荻原浩



金魚姫 荻原浩

勤め先の仏壇仏具販売会社はブラック企業。同棲していた彼女は出て行った。うつうつと暮らす潤は、日曜日、明日からの地獄の日々を思い、憂鬱なまま、近所の夏祭りに立ち寄った。目に留まった金魚の琉金を持ち帰り、入手した『金魚傳』で飼育法を学んでいると、ふいに濡れ髪から水を滴らせた妖しい美女が目の前に現れた。幽霊、それとも金魚の化身!?漆黒の髪、黒目がちの目。えびせんをほしがり、テレビで覚えた日本語を喋るヘンな奴。素性を忘れた女をリュウと名付けると、なぜか死んだ人の姿が見えるようになり、そして潤のもとに次々と大口契約が舞い込み始めるー。だがリュウの記憶の底には、遠き時代の、深く鋭い悲しみが横たわっていた。(BOOKデータベースより)

萩原さんらしい本だった。
他の作品でも言葉遊びとか多いんだけど
今回もまたそれが生かされてました。

金魚なのに人の姿にもなり、えびせんを食べてテレビを見る。
その姿は金魚とわかっていながらも面白く楽しい。
ブラック企業に勤めていてもう鬱寸前というか、鬱状態になるのにそこからの脱却。
挙句に死んだ人も視えるようになり、仕事もはかどるように(仏壇屋さんだから)

リュウ(金魚)はリュウでテレビを見、
明らかに「金麦だろ」というCMのパクリをし(笑)
最初はこんなかんじで笑わせてくれるんだよねー。

しかし最近の萩原作品は必ずしもそういうわけではなく、ラストはしんみり。

潤本人にしろ。
その後潤の前に姿を現さなかったリュウにしろ。

「冷蔵庫を抱きしめて」 荻原浩



冷蔵庫を抱きしめて 荻原浩

あ、ダメ、ダメだってわかっているのに、どうして同じことをー。あなたの心、解放します。現代人のライトだけど軽くはない心の病気に、シニカルに真剣に迫る短編集。(BOOKデータベースより)

【目次】
ヒット・アンド・アウェイ/冷蔵庫を抱きしめて/アナザーフェイス/顔も見たくないのに/マスク/カメレオンの地色/それは言わない約束でしょう/エンドロールは最後まで


闇を抱えた人が多く、一見暗くなりがちなのですが
そこは荻原作品。
上手にまとめた感じがしました。

今までの荻原作品に登場しなかったであろうDV男。
わたし暴力振るう男ってサイテーだと思ってるので、
それに向かうべく対処した幸乃はすごい。
きっとプロになるだろう( ̄ω ̄*)

摂食障害の人の話(表題作)も「こういうのありそうだな」と思いました。
結婚してからの食の違い。
私もダンナが食べないものは作らないし。
でも、それほどないかな。
この本の中ではなんでもケチャップかけられてましたが、
我が家のダンナさんはなんでも醤油の人です。
ただ、私はこういう事に関しては全く気にしないタイプなので
問題にならない。
ってことは、私がおおらか(←というより無頓着)なのが素敵なことなのね。

最後のエンドロールも好きだ。
途中まで気づかなかったというか、お金の話が登場して「あれれ?」と思った(笑)
私もいつか騙されそうだ(^^;)気をつけねば。

ドッペルゲンガーの話はラストがちょっと・・・
おぉ・・・
そっち系でしめたかと。

どの話も面白く短編だったのであまり疲れることなく読みました。

「家族写真」 荻原浩



家族写真 荻原浩

娘の結婚、加齢に肥満、マイホーム購入…家族に訪れる悲喜こもごもは、ささやかだけど大事件。笑ったあとに、心にじんわり沁みてくる、これぞ荻原浩!の極上家族小説。(BOOKデータベースより)

【目次】
結婚しようよ/磯野波平を探して/肉村さん一家176kg/住宅見学会/プラスチック・ファミリー/しりとりの、り/家族写真


いつもの荻原さんの描く家族像な感じの話もありましたけれど、
私は「プラスチック・ファミリー」が強烈でした。

「糞が」「糞が」と世間に悪態を垂れている(ただし独り言として)主人公が、
廃材置き場からマネキンを拾ってきたことにより、生活が変わっていくという話。
これは・・・ちょっと強烈だった。
面白かったです。
普段、あまり荻原さんが描かないタイプの「家族」なのでぐいぐい来ました。

割と荻原さんにもパターーーーーーンってあるから、
読んでて「あぁ。こういう感じね」みたいな気持ちがあるのです。
しかし、マネキン拾ってきて一緒に暮らすってないだろー。

凄く面白かった。
なるほど。人はこう変わるのかと。

磯野波平さんが54歳というのは知ってました。
えぇ。うちのダンナさんより年下だってことも(´・ω・`)
しかし、21世紀の今、波平さんの姿かたちで54歳というのはないと思うけど。

「二千七百の夏と冬」 荻原浩



二千七百の夏と冬 荻原浩

ダム建設工事の作業中に、縄文人男性と弥生人女性の人骨が発見された。二体はしっかりと手を重ね、互いに顔を向け合った姿であった。三千年近く前、この男女にいったいどんなドラマがあったのか?新聞記者の佐藤香椰は次第にこの謎にのめりこんでいく。縄文から弥生へ、時代のうねりに翻弄された悠久の愛の物語。

超~大作を よ・ん・だっ♪

傑作です。
面白かった。

最初は縄文時代の話なんて面白いかなーと思ったのです。
実際、わかんないし。
別に興味のある時代でもないし。

でも、ここが何というか荻原浩っていう作家の持ち味なのか・・・
もう下巻なんて2時間で読んだー。
日曜日、掃除をパパパッと終わらせ読みましたよ。
「読みたい」という意志があれば何でもできます(笑)

現代で生きる香椰の章もあって、香椰の彼が「実は日本人ではない」
という表現もあったので、もう少し重いテーマが含まれているのかもしれませんが、
それよりも縄文時代を生きるウルクがなんかとても面白くて。
縄文語が沢山飛び出します。
全然説明がないのだけど、だんだんと分かるようになりました。
「ミミナガ」の習性とか読んでると「うさぎのことか」とか。
「イー」(←いのしし)とか「ヌー」(←犬)とか「根棲」(←ねずみ。まぁこれはそのまんま)
そういうのがだんだんわかってくると、「あぁ・・・縄文語が分かる」と
ワケ分からない錯覚が起きてきます(笑)

そういうのを踏まえながらのウルクの冒険(というか追放による冒険)を読みます。
本人は一生懸命なんだろうけれど、とりあえず縄文時代であったりするので、

「カヒィの乳房は蛙の腹より柔らかかった」

とかあるのです。
ここ、読みながら吹きました。
蛙の腹しか浮かばないのか!

この表現の仕方こそ荻原さんかなーと思うのです。
かなりお気に入りの1冊になりました。

「幸せになる百通りの方法」 荻原浩



幸せになる百通りの方法 荻原浩

このムズカシイ時代を、滑稽だけど懸命に生きる人たちー。短篇の名手が贈るユーモア&ビターテイスト溢れる七つの物語。(BOOKデータベースより)

【目次】
原発がともす灯の下で/俺だよ、俺。/今日もみんなつながっている。/出逢いのジャングル/ベンチマン/歴史がいっぱい/幸せになる百通りの方法


荻原さんっぽい作品ばかり。
ほっこりしながら、それでも哀愁やさみしさがあったり、
現代的な要素がありました。

個人的に好きなのは「ベンチマン」
リストラされたサラリーマンが奥さんに言いたいのに言えず、
苦悩するさまがいいんです。
登場する人、みんないい人。

それを思えば、この本に登場していた人はみんないい人だった。
こうして振り返ってみれば、荻原作品はクセの強い人は多いながらも
悪人ってあまり出てこないね。
ふむ。
なるほど。
今頃気づきました(^^;)

短編なので読みやすく、じっくり味わった1冊。

「俺だよ、俺」はタイトルのごとく、「オレオレ詐欺」ですが
それもまた失敗しまくるという、悪人が出ないシステムになってます。
大阪のおばちゃんの返しがとても素敵なんですけど(笑)