igaigaの徒然読書ブログ

読んだ本の感想を気ままに書く読書ブログ。時々映画鑑賞。

「嘘つきジェンガ」 辻村深月



嘘つきジェンガ 辻村深月

見栄、不安…ほんの出来心から積み上げてしまった嘘。一線を越えたら、もう戻れない。騙す側、騙される側、それぞれの心理を巧みに描く小説集。

目次(「BOOK」データベースより)
2020年のロマンス詐欺/五年目の受験詐欺/あの人のサロン詐欺



2020年のロマンス詐欺は、別のアンソロジーで読了済み。

2話目の受験の話はなんかありそうで微妙。
こういうのに引っかかるというのは、息子を信頼してない。
もしくは自分をも信頼してないってことからくる弱さであるんだろうな。
中学受験というのがまたさらに微妙っていうか・・・
でも、息子の成長が感じられて、こんな子に育ったのならば
母親の育て方もまたよかったのかなと。

3話目はこういう詐欺があるのかと本当に驚きました。
SNSも何もかも一切やってない漫画家のふりをして、
オフ会をしているという・・・しかも36歳女性。
怖いって。

ちょっと唖然としてしまったっていうか・・・
そういうこと考える人いるんだなー。
世の中は広い。

と、ワケわからないことを思いました。
そして、「オフ会は内緒にしてくださいね」と、
言っていてもしっかりとバレるものではあるようです。

「闇祓」 辻村深月



闇祓 辻村深月

「うちのクラスの転校生は何かがおかしいー」クラスになじめない転校生・要に、親切に接する委員長・澪。しかし、そんな彼女に要は不審な態度で迫る。唐突に「今日、家に行っていい?」と尋ねたり、家の周りに出没したり…。ヤバい行動を繰り返す要に恐怖を覚えた澪は憧れの先輩・神原に助けを求めるがー。身近にある名前を持たない悪意が増殖し、迫ってくる。一気読みエンタテインメント!



ホラーと言えばホラーなんだけれど、一概に言いづらいというか。

人の心を支配するんだよね。
こういう人って。
しかし、どんどんと人間の中身は違う人なのに、毎回神原〇〇になるというのは
ひと昔前の「加勢大周騒動」を思い出しました。
新・加勢大周とかあったよね。

それみたいなものです。
祓う人間によって、この体を維持できないと思うと、次に狙う人を
決めておいて、引き継ぐっていう。

とにかく、関わりたくない。
そんな不穏の空気がありありで・・・

一番いやだなと思ったのがママ友の回。
わたしは、ママではないので、よってママ友もいないわけで・・・
なので本に載ってるような「お茶会」にも参加したこともないし、
これを読む限りでは参加したくなーーいと思います(笑)
ほんとに。
いや、世の中もっと楽しいお茶会もあるんだろうけれど、
このお茶会はない。

それで、交通事故で死んだママ友がいて、家族がひっそりと
家族葬でやるって言っているのに、押しかけようとするママ友。
なんというか・・・それが普通と思っているあたりが怖い。

そういう怖さもありました。
最後はうん。
ホラーな終わり方だった。

「琥珀の夏」 辻村深月



琥珀の夏 辻村深月

かつてカルト集団として批判された団体の敷地から子どもの白骨が発見された。弁護士の法子は、遺体は自分の知る少女ではないかと胸騒ぎを覚える。三十年前の記憶の扉が開き、幼い日の友情と隠された罪があふれだす。



夏休み中にクラスの子が何泊か宿泊したってあったなぁーと
懐かしく思ったり。
わたしの時代は「青少年の家」とかそういう名前でありましたが、
全く、「宗教」とかそういうのは関係ないんだけれど。
法子からしても宗教風には思わなかったと思う。
それを「宗教」にしたのは大人であって。

しかし、そこから白骨死体が出てきて。
元、ミライの学校にいた法子と同じ年の子だったという・・・

小学生にとって、自分の学校以外の同年代と接するのって
とても新鮮な気持ちがあると思います。
ドキドキしたり、特別な思いが出てくると思うんだけれど。
法子にとって、ミカは限りなくそういう存在だったんだなー。

それが大人になって、弁護士と容疑者になりそうな人。という形で接する。
法子のセリフの中で、
「今のあなたとは友達ではありませんが、当時のあなたとは友達でした」
っていう言い方が結構好きで。

そうだよな。友人関係も永遠に友達のワケなくて。
その時は友達だった。でも、今は違う。
そういう割り切ったセリフがしっくり心に来たということは
わたし自身の気持ちの表れなのかも~。
と思った。

しかし、死の真相もそれ以外もわからないことはわからない。
おとながキレイに隠したので。

「噛みあわない会話と、ある過去について」 辻村深月



噛みあわない会話と、ある過去について 辻村深月

怒りは消えない。それでいい。あのころ言葉にできなかった悔しさを、辻村深月は知っている。共感度100%!切れ味鋭い傑作短編集。

【目次】(「BOOK」データベースより)
ナベちゃんのヨメ/パッとしない子/ママ・はは/早穂とゆかり


前にネットで
「日本人はすぐに飽きるから怒りは続かない。すぐに醒める」
で、逆に韓国人が物凄く怒りをパワーにする民族らしく、
怒り続けることによって、生きる源になるとかなんとか。

「なるほどねぇー」と思ったのですが。
私はそういう意味ではモロ日本人的です。

続かないのは怒りだけではないのですが(´-ω-`)

ってことで、「あの時の恨み」を晴らすべく、何年も何十年も経ってから登場するっていう話が2つ。
そういう気持ちのない私からするとドン引く人たちですが。
怒りは長続きしません。
その時は確かに腹も立ちますし、鼻息も荒くなります。
でも、それを何年も何十年も片時も忘れずとか・・・
ないなぁー。
まぁそのくらい傷つけたり傷ついたりがなかったのだろうなという自己分析。

で、逆に言うと「ナベちゃんのヨメ」のナベちゃんには少し共感するところもありましたよー。
新郎の友人に女子とか呼んでほしくないですし。
っていうか、最初から呼ぶなよ。
結婚式に異性の友達呼ぶの当たり前なのかなぁー。
田舎ではあまりないけどなぁー。

「かがみの孤城」 辻村深月



かがみの孤城 辻村深月

どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。9時から17時まで。時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探すー

相変わらずこういうの書かせたらうまいねぇー。
最近は辻村さんも結婚出産したせいか作風が変わりましたが、
これは初期のころの痛々しい子 盛りだくさん(^-^;)
読んでて痛い・・・痛すぎる・・・

私の学生時代、多かれ少なかれこういう経験もありましたが、
この話に比べたら、もう、ほんと。
ないに等しいです。
あぁ平和な学生時代だった(笑)

しかし、真田美織こえぇーよ。
こんな子にターゲットにされたら確かに私も学校に行けなくなるかも。
最初は理解してくれなかったお母さんがこころに理解者になってくれた
ということは読んでてほっとしました。
先生もね。学校の先生も確かに人だからいい先生もいれば、そうでない
先生もいますね。最近ニュースでもありましたし。
先生の質が落ちているのか。それとも時代なのか。


本の話に戻りまして、
「時間」が関係してあることには気づきましたが、
「こころ」が主役であると思いきや、実はあの孤城はこころ以外の人のものだったー。
最後明るい終わり方でほっとしました。

「東京會舘とわたし 下」 辻村深月



東京會舘とわたし 辻村深月

緊張で肩を震わす舞台女優、東日本大震災の日、直木賞受賞を知らされた青年…優しさと慈しみに満ちた物語は、ついに終章へ。

新館になりました。
そこでも東京會館と人とのつながり。
とても温かい優しい気持ちになれますが、
でも・・・やっぱり・・・敷居は高い気がする。

震災の時に本当に東京會館に避難した人もいるらしい。

金婚式の話に号泣。
この震災の日の話にも泣き、
直木賞作家のお父さんにも泣いた~

今は建て替え中ですか?>東京會館。
一度東京に行く機会があったら行ってみたいです。
しかし、田舎者のビンボー人が行っていい場所ではない感じがする(笑)
そっと外から眺めるくらいでもいいかも。
だってレストラン物凄く高そうなんだもん(ここら辺が貧乏人的)

上巻にしろ下巻にしろ全てではないだろうけれど、実話エピソードも入っているんでしょう。
東京會館に係わることが出来た人って羨ましいなーーー。

「東京會舘とわたし」 辻村深月



東京會舘とわたし 辻村深月

海外ヴァイオリニストのコンサート、灯火管制下の結婚式、未知のカクテルを編み出すバーテンダー…“會舘の人々”が織り成すドラマが、読者の心に灯をともす。大正十一年、丸の内に誕生した国際社交場・東京會舘。“建物の記憶”が今、甦る。激動の時代を生きた人々を描く。直木賞作家の傑作長編小説!

実在の建物ですのねー。
こういうところが分からないのです。私は。
田舎の人なのです(っω・`。)

大正から戦中、戦後を東京會舘とともに書いてます。
どの人の話も良かったけど、結婚式の話もいいなー。
バーで働く桝野、今井の話もいけど。
この当時の人たちって職人だよなーと思います。
工夫があるっていうか。
今みたいにマニュアルとかないので面白いです。
上巻のラストになると機械化になりかけているところもあるのでしょうが、
下巻になるとどうなるのかなー。

どこの人か知らないけど、上下巻分けて借りてるんだよねーーー。
この間行ったら下巻しかなくて。
で、最近行ったら上巻しかなくて(笑)
上巻だけ借りましたが、次に行った時下巻はあるのか!?
まぁミステリーじゃないので少し時間が空いてもいいかもしれない。

「きのうの影踏み」 辻村深月



きのうの影踏み 辻村深月

怪談には死者の“思い”が込められている。人の喪失に寄り添ってきた文学に、辻村深月が心血を注ぎ込んだ。失った“大切な誰か”を思い出して読んでほしいと願いながら。辻村深月の新境地!絆を感じる傑作短篇集。

【目次】
十円参り/手紙の主/丘の上/殺したもの/スイッチ/私の町の占い師/やみあかご/だまだまマーク/マルとバツ/ナマハゲと私/タイムリミット/噂地図/七つのカップ


「ふちなしのかがみ」っぽいねー。
あと、小野不由美さんっぽい雰囲気でもある。

辻村さん→名前を1文字使うくらい綾辻行人さんを心酔⇒の奥様⇒小野不由美さん。

ってことで小野さんをも心酔?
そう思うくらい私の中では重なりました。

それでも怪談ってことで一人で読むには結構怖い話もあった。
以前に読んだ「ふちなしのかがみ」もだけど、小学校の時の話が多い。
都市伝説。
私の時代は「口裂け女」でしたが(笑)
あとは、コックリさん、リボンさま。
この本でも都市伝説について取り上げてました。

一番最初の話の「十円参り」
私こういうの怖いんだよねー。
怖いです。はい。
県民としてナマハゲは避けて通れない話ではありますが
(40何年生きてきてリアルに我が家にはナマハゲは来たことないですが)
これはただの「○○鬼」ではないかと思いました。
ナマハゲは神様なんだよーと突っ込んでおきます。

「朝が来る」 辻村深月



朝が来る 辻村深月

「子どもを、返してほしいんです」親子三人で穏やかに暮らす栗原家に、ある朝かかってきた一本の電話。電話口の女が口にした「片倉ひかり」は、だが、確かに息子の産みの母の名だった…。子を産めなかった者、子を手放さなければならなかった者、両者の葛藤と人生を丹念に描いた、感動長篇。(BOOKデータベースより)

面白かったよー。
このBOOKデータベースからイメージする話とは違ってて
一気にぐいぐい読みました。
養子をもらうことになった栗原夫婦の葛藤と
産んだ子を手放すことになった片倉ひかりの心情がうまく書かれていた気がします。

でもね、結局のところは子供が子供を持つとこうなるんだよなー
という典型的な転落人生。
まだ全然おつむは赤ちゃんなのに、
「私は子供を産んだのよ。あななたちとは違うのよ」
という考えが出る時点でおこちゃま。

こういう時は女の子は割を食うというか損をするというか。
男は何事もなく普通の学生生活。
うーーーーーーーむ。
ひかりも可哀そうではあるんだけどね。

しかし、転落しすぎだろー。
子供を産むのは大人になってからのほうがいいんだろうね。きっと。
ひかりを見て特に思った。
それにしても、最初から「養子である」と周りにも公言しながらも
わが子のように大切に育てる栗原夫婦はいいね。
朝斗も可愛かったし。

ただ、ケーサツがなんで行方不明者として探してたんだろう。
誰が通報したのか?
ちょっとそこだけ気になった。

「ハケンアニメ」 辻村深月



ハケンアニメ 辻村深月

伝説の天才アニメ監督王子千晴が、9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』。プロデューサー有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品だ。同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と人気プロデューサー行城理が組む『サウンドバック 奏の石』もオンエアされる。ネットで話題のアニメーター、舞台探訪で観光の活性化を期待する公務員…。誰かの熱意が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び、新たな事件を起こす!anan連載小説、待望の書籍化。(BOOKデータベースより)

アニメに係わる人のお仕事小説ですが、
流石アニメ・・・

さっぱり分からないヽ(´∀`*)ノ

プロデューサーだったり、監督だったり、作画担当だったりそれぞれの女性が頑張ります。
アニメ制作は分からずともそこに携わる人たちの葛藤やら何やらはわかります(。・ω・。)
みんなそれぞれ苦労してました(^^;)
そっちで行けば面白かったけど、
有川浩さんがやりそうな胸きゅんがちらりほらり。あらら。
3話目なんてモロそんな感じですけどね。
an-an掲載なのでちょっと意識しましたかね。

ちょっと最後は上手くいきすぎなんじゃないかと思ったりはしましたが、
読み終わって気持ちが爽やかになる本は読んでて楽しいものです。

チヨダ・コーキが登場してましたが、大人になった物分りのよいチヨダ・コーキを読むのは微妙です(笑)
辻村さんの作品は自分が成長するとともに、自分のキャラクターも歳をとる。
いいんだか悪いんだか。

個人的には有科&王子ペアが面白くて好きでした。