igaigaの徒然読書ブログ

読んだ本の感想を気ままに書く読書ブログ。時々映画鑑賞。

「第五番」 久坂部羊



第五番 久坂部羊

創陵大学准教授の菅井は患者の黒い肉腫に唖然とした。エイズに酷似するウイルスが骨を溶かし数日で全身に転移、意識障害で死に至らしめる。あらゆる薬が効かず数カ月で日本中にこの「新型カポジ肉腫」が多発したが国は無策で人々は恐慌した。一方ウィーンで天才医師・為頼がWHOの関連組織から陰謀の勧誘を受ける。ベストセラー『無痛』の続編。

とりあえず続編読みたいなーと思っていたのでスッキリしたのですが、
相変わらずこの小説を医師が書いているということに衝撃を受けます。

どこからどう読んでも「医者になんてかかるな」「治療??ムダムダ」
「いつでも医師はライバル」「自分の名声が第一」

などなどです。
読んでて怖いです。

この新種の奇病と前回の登場人物があいまみえて、
なんだか分からない展開になります(^-^;)

そういう意味では読み終わってどっと疲れた感じ。

なんだか誰にとっても救いはないしー。
読み手の私にとっても医療不信になりそうだしー。

だいたいこの人の書く本はコメディであれシリアスであれ
医療不信を思わせる事ばかり書くんだもんなーーー。
前回気になるところで終わったので、読みましたが
そこの部分に関してはもんのすごい肩透かしだったこと
だけは書いておきましょう。

「無痛」 久坂部羊



無痛 久坂部羊

神戸の住宅地での一家四人殺害事件。惨たらしい現場から犯人の人格障害の疑いは濃厚だった。凶器のハンマー、Sサイズの帽子、LLの靴跡他、遺留品は多かったが、警察は犯人像を絞れない。八カ月後、精神障害児童施設の十四歳の少女が自分が犯人だと告白した、が…。外見だけで症状が完璧にわかる驚異の医師・為頼が連続殺人鬼を追いつめる。

なんか本当のテーマはどこにあるんだろう。
最初の殺人事件は・・・あまり重要じゃないよね。
そこが警察小説と違うところかな。

この人の本を読むといつも「もしガンになっても手術しないほうがいいのかな」という
気持ちになります。
なんか・・・手術して抗がん剤して・・・よりも手術しないで緩和ケアでゆっくりと
生涯を閉じるほうがいいのか??とも。
まぁこれはきっと末期で見つかった場合だろうけれどね。
初期の場合はおそらく手術して取り除いたほうが長く生きられると
思うのであります。

サトミとか、伊原とか、白神とか登場人物が個性的すぎて
いろいろと突っ込みたいところはありますが・・・
どこから突っ込んでいいのやら・・・

一番驚いたのはこんなに厚い本なのに

「続くのか?」

という事です。
なんなんでしょう。この終わり方。

「院長選挙」 久坂部羊



院長選挙 久坂部羊

国立大学病院の最高峰、天都大学医学部付属病院。その病院長・宇津々覚が謎の死を遂げる。「死因は不整脈による突然死」という公式発表の裏では自殺説、事故説、さらに謀殺説がささやかれていた。新しい病院長を選ぶべく院長選挙が近く病院内で開かれる。候補者は4人の副院長たち。「臓器のヒエラルキー」を口にして憚らない心臓至上主義の循環器内科教授・徳富恭一。手術の腕は天才的だが極端な内科嫌いの消化器外科教授・大小路篤郎。白内障患者を盛大に集め手術し病院の収益の4割を上げる眼科教授・百目鬼洋右。古い体制の改革を訴え言いにくいこともバンバン発言する若き整形外科教授・鴨下徹。4人の副院長の中で院長の座に就くのは誰か?まさに選挙運動の真っ盛り、宇津々院長の死に疑問を持った警察が動き出した…。

これは・・・ホラーだよね(笑)

自分のためだけのための医療。
こわーーい。
患者なんて二の次さ。要するに自分が上にのぼりつめればいいんだ。
という、4人の副院長の恐るべし性格っ!

こわーい。

大学病院ってこういうところなんだろうなーというのは
先日七回忌を迎えた義弟の治療でしみじみわかってます。

※食道がんだった義弟は手術後、脳に転移してしまったのですが
大学病院の医師同志がコミュニケーションをとることを拒否し、
全てにおいて義弟を通してコミュニケーションを取ったために
後手後手になったと思ってます。
同じ病院にいるのに、「脳外科の先生は何って言ってるの?」
とか「あっちの先生にはこういう風に言ってくれない?」とか。
義弟から話を聞いて信じられなかったけれど、今これを読むと
案外どこの大学病院でも起こり得ていることなんだなと実感。


まぁそんなことを面白おかしくユーモラスに・・・それ以上に辛辣に書いてます。

この本を読むと規則正しく規律ある生活をし、腹八分目、飲酒はたしなむ程度。
出来る限り医者に行かないようにしよう。

しみじみ思うのです。

「芥川症」 久坂部羊



芥川症 久坂部羊

父の死因とは一体何だったのか?食い違う医師・看護師の証言。真相を求め、息子はさまよう(「病院の中」)。多額の募金を得て渡米、心臓移植を受けた怠け者の男と支援者たちが巻き起こす悲喜劇(「他生門」)。芸術を深く愛するクリニック院長と偏屈なアーティストが出会ったとき(「極楽変」)。芥川龍之介の名短篇に触発された、前代未聞の医療エンタテインメント。黒いユーモアに河童も嗤う全七篇。

【目次】(
病院の中/他生門/耳/クモの意図/極楽変/バナナ粥/或利口の一生


芥川龍之介の本って割合と好きなのです。
「藪の中」なんて初めて読んだとき電流が走った(笑)

でも、こうしてみると未読が沢山あったよー。
でも、気にしないで読んだけど。

未読である「地獄変」をもじった?「極楽変」がとても面白かった。
これは元の作品がかなり期待できる気がする。
読みたい。

「或利口の一生」は現代の医療についてモノ申してまして、
読んでると確かになぁーと思った。
例えば、私は毎年のようにがん検診をしているのですが、
1回やってしまうと毎年やってしまうサイクルに陥ってしまうー。
良くないかも。
でも、医者に言われると不安でまた受けてしまうのだよ。
きっと。うーーーー(TωT。)

「クモの意図」も好きだなぁ。
最初の「病院の中」がイマイチだったので先が心配になりましたが、
読んでいくうちに面白くなりました。